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美術館ツアー

青木村郷土美術館ツアー

当美術館は、平成3年にオープンしました、郷土美術館の名称のとおり、郷土にゆかりのある作家の作品を収集し展示をしています。収蔵作品は絵画、版画,陶器、彫刻、書など1200点、そのうち1割程度の作品を常時展示しています。

美術館の玄関を入るとロビー、正面のひろい窓越しに大法寺の竹林を借景に、石庭が見えます、春には石楠花、夏にはシャラ、秋はもみじ、冬はサザンカが咲きます。 右手は200平米の企画展示室、左手は120平米の常設展示室、シンプルな構造の美術館です。

入口のガラスケースには、農民美術の木端人形が70点展示されています。

大正8年、上田市で画家山本鼎と金井正など地元の青年たちが『児童自由画運動』と『農民美術運動』をはじめました。青木村では大正15年に『農民美術講習会』を開催し、不況で悩む農村の冬期間の副業として多くの村民たちが参加し、生産組合も結成され全国の観光地へみやげとしておくられました。しかし戦時体制になり県の補助金が中止されとだえてしまいました。数十年前までは古い家ならどこにでもあったのですが小さくこどものおもちゃとして最適でしたのですっかり姿を消し、現在では貴重なものになりました。美術館で展示している木端人形は、かつて生産者として活躍していた村民の皆様が大切に保存していたためこれだけ多くの人形がのこされたのです。

常設展示室には、入口と奥に中村直人の院展に出品した「石工」と「父子像」の木彫があります。ガラスケースのなかには、おおきな4点の復元壁画があります。大法寺、国宝三重塔の内壁に平成18年、文化庁の調査により壁画が発見され、調査をした馬場良治先生が復元した作品です。この部屋の正面には、小諸市出身の文化勲章受章画家、小山敬三(明治30年~昭和62年)の「ばら」(油彩画)「紅浅間」(リトグラフ)が目につきます。となりには、東御市出身の丸山晩霞(1867~1942)の水彩画の作品があります、丸山晩霞は明治時代に水彩画が日本に入ってきたころ、国内では三本の指に入るといわれた大家で、水彩画の普及に努め、大法寺の海禅和尚とは同郷の友人で、たびたび大法寺を訪れました。大法寺の本堂には晩霞の杉板に描いた、大変珍しい「大法寺八景」があります。

晩霞の隣に林倭衛(しずえ)の作品が2点あります。林倭衛(明治28年~昭和20年)は上田市で生まれました。上京し社会主義運動やアナーキズム運動をしながら絵を描き、大正5年から二科展に出品しています。とくに有名なのは大正8年の二科展に出品した大杉栄をモデルにした「出獄の日のO氏」が、警視庁の撤去命令が出て、怒った大杉栄が自分が絵の代わりに立つといったりして話題になった作品の作者でもありました。

さらにこの部屋には、2月18日に急逝した、瀬川康男のテンペラ画があります。絵本作家として世界的に高い評価をされている瀬川康男ですが、若いころから画家として独学で自分の世界を切り開いてきました、美術館に保存され展示されているのは、画家瀬川康男の作品です。しかも日本では珍しいテンペラ画の作品もあります。

企画展示室をめぐってみます。入った正面には、青木村出身の画家、桜田晴義(昭和20年生まれ)の3点の作品が目に入ります。桜田晴義は1973年スペインにわたり、ピカソ、ミロ、ゴヤなど天才を生んだスペインで、印象派以前の古典技法を学び、日本では数少ないスーパーリアリズムの画家として、スペインを拠点に制作を続けてきました。美術館で展示をしている大作3点は、彼がスペインに渡り食えない生活をしていたころ、ようやく画廊に認められ初の個展を開催した時の作品が「燭台」(1975年)で、最近ようやく入手したもの。『花園にて』(1978年)は、のちに「FBI心理分析官」というベストセラーとなった本の表紙になった作品です。『ボデゴン』(1982年)は、彼が10年かけて追及してきた古典技法が完成した作品で、この3点をみると、スペインに渡った初期のシュールレアリズムがかった作品から、その不気味さが隠されてゆき、古典技法がしだいに完成していく過程を見ることができます。

そのとなりに、中村直人のグァッシュの作品が3点あります、この部屋の中央のガラスケースに展示してある、中村直人の木彫の作品や院展に出品した木彫の大作で見られるように、直人ははじめ彫刻家として認められました。フランスに渡った時、絵を描きだしました。絵の具はグァッシュ(不透明水彩)で 制作の途中で紙をぐしゃぐしゃに丸めて描きます。この特殊な技法は偶然に発見したもので、それにより背景に不自然な線や絵の具の剥離ができます。それが直人の絵の特色です。

この部屋には、青木村の沓掛利通(大正元年~平成17年)の作品があります。沓掛利通は青木村沓掛温泉の叶屋旅館の長男としてうまれました。東京で絵を描き、文学を論ずる自由な青春を送ったあと、家業を継ぐため帰郷し、上田で開催されていた洋画講習会で倉田白羊や山本鼎に出会い本格的の絵を始めます。 主として春陽会で活躍し、現在この地方で活躍している多くの画家たちに大きな影響を与えました。

そのほか青木村にアトリエをもつ、故有賀温(ゆたか)の水彩画、夏だけ青木村で制作していた朝比奈隆の安曇野風景の油彩画、両親が青木村出身で、現在筑波大学の准教授の太田圭の「浅間山」、中国人でNHKの水墨画教室の講師で知られる傅益瑶(フーイ―ヤオ、昭和22年南京市うまれ)の大法寺風景の水墨画、浦野でリンゴ農家をしながら日本画を描いている生島潔の『三重塔』、伊東深水らの新版画などが展示されています。

こうして美術館のツアーをしてきましたが、作品は季節ごとに、あるいはテーマによって展示の一部を変更します。また、特別企画展の場合は、企画展示室がつかわれるため、お目当ての作品にお目にかかれないばあいもあります。

青木村郷土美術館 桜田義文 

青木村観光協会

〒386-1601 長野県小県郡青木村大字田沢111番地
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